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スマホアプリ「コインパズル」開発者の日記https://bit.ly/35gpWAB

回顧録12〜クラッシャー〜

私は受賞からデビューという華々しい?道を辿り、漫画家の先輩に奢ってもらったりして、少し良い気分になっていた。
ムック本にも再掲されたのだから、きっと次も描きませんか、という話がある筈だろう、そう思っていた。
その時である。
 
 
なんと、突然「漫画実話ナックルズ」が廃刊した。
私はそれから友人に「クラッシャー」と呼ばれる様になった。
デビューした雑誌が廃刊になると付けられる、漫画家の不名誉な異名である。
 
いや、これは私の問題ではなく、漫画が不況なのだと思おうとした。
これは2010年前後の話だが、その頃空前絶後の出版不況が訪れており、電車の中でも漫画を読んでいる人より、スマートフォンをいじっている人の方が多くなっていた。
加えてその当時、iPhoneアプリなるものが登場し、個人発信でリリースできる世の中になってきていた。
もちろん、スマートフォンで漫画を読んでいる人もいたのかもしれないが、スマートフォンで漫画を読ませるなら、音が出たり、動くアプリの方が面白いと感じた。
 
 
 
ある日プログラミングの講習会に参加した。
プログラミングを学ぶのではない。
出来る人を探そうと思ったのだ。
 
私の計略は意外にも当たり、駆け出しのプログラマーの人が乗ってくれ、iPhoneアプリを作るに至った。
私は大学時代デザイン科に在籍し、映画サークルに入っていたので、絵を描き、パソコンに取り込んで、簡単なアニメーションを作る事ができた。
それをプログラマーの方に渡し、iPhoneの画面にタッチしたら動くアニメを作った。
私はそれを「光画」と名づけ、漫画に次ぐ新しいメディアだと息巻いた。
 
内容はというと、「新約・北風と太陽」という話だ。
話は一般的なものが良いと考えた私は、世間に馴染みのある話のパロディを考えた。
北風と太陽が旅人の服を脱がせにかかるが、その旅人が女性だと分かった瞬間、真面目な太陽がこんな卑猥な事は許されない、と北風の横暴を止めに入る。
しかし、実は太陽はムッツリスケべで、直射日光で気温を上げ、北風を止めるフリをして脱がせにかかる、というどうしようもない話である。
 
このアプリは、AppBankにメールして売り込み、村井さん(現在はマックス村井さんとして活動中)が面白いと言ってくれて、AppBankの中で取り上げてくれた。
そのおかげで日間の売上数で1位を記録し、私は再び有頂天となった。