ラスベガスはカジノのために来たのではない。
アンテロープキャニオンが見たいのだ。
今回の旅は、自分の中でコンピュータの聖地巡礼の旅なのである。
次の日は夜中2時半からアンテロープキャニオンツアーに参加した。
途中で寄ったホースシューベントと言う所が、あまり観光地感が無くて、この日で1番良かった。
ホースシューベントは馬(ホース)の足跡(シュー)のに様に曲がったところ(ベント)と言う意味だが、言ってしまえば、コロラド川の単なる蛇行である。
ただこの蛇行がめちゃくちゃ深いのだ。
100メートルは優に超える、蛇行によって出来た崖。
その下を見ると、川をクルーズ船が優雅に通過している。
随分と深いため、船の音など届く筈もなく、おもちゃの小舟が通過している様に見えた。
その後、旅の目的の一つである、アンテロープキャニオンに向かった。
日本人のツアーガイドは外で待ちぼうけ。
実物よりガイドの撮る写真に夢中になってしまっていたが、肝心のアンテロープキャニオンは、期待を越えてこない。
ここは、実際に来るより、写真で見た方が絶対に美しい。
実物は随分狭い谷で、小さい。
確かに砂漠の真ん中で偶然この谷を見つけたら、凄いものを見つけた、と感動するだろう。
しかし、階段が設置され、ここで写真を撮るとキレイですよ、と紹介されると魅力は半減してしまう。
ココはいわゆる映えスポットであり、様々ならパソコンのデスクトップを飾る事で話題になったが、実はナバホ族のプロデュース力の賜物であった。
ナバホ族は先祖から受け継いだ大いなる遺産を、ITの力で最大化する事に成功していたのだ。
その日は他にもグランドキャニオンや恐竜の足跡なんかも見た。
グランドキャニオンは確かに素晴らしかったけれど、観光地化し過ぎている様に思えた。
グランドキャニオンはお土産屋を通過しなければ見ることが出来ない点が萎えポイントだった。
お土産ショップと言うのはどこの国も同じだ。
アクリルキーホルダーがあり、人を殺せないナイフがあり、本当に私をうんざりさせる。
唯一の救いはトイレが海外にしてはキレイだった事だ。
アメリカはヨーロッパに比べて治安も良く、衛生面も良い。
郊外はどこか日本の田舎町を彷彿とさせる瞬間がある。
などと考えながらツアーバスに揺られていると、ラスベガスに着いた。この日、3000キロを走破したらしい。
車とは1日でそんな距離を走れる乗り物だったのか。
その日はやたらと大きいステーキと大量のトルティーヤと言うトウモロコシチップスみたいなのを食べたが、当然食べきれなかった。
次の日は早起きしてサンフランシスコに向かうので、早目に寝た。