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スマホアプリ「コインパズル」開発者の日記https://bit.ly/35gpWAB

回顧録7〜担当が外れる〜

出オチみたいなタイトルで内容は分かると思う。
希望はすぐに断たれるのだ。
 
トキワ荘に入って、ちょうど一年が過ぎ、私は「I can see…」のネームを直していた。
ネームというのは本来、連載漫画家なら20ページの漫画であれば1日で終わるらしいので、私の描こうとしている、32ページの漫画なら、2日で終えなければならない。
なのに、直せば直すほど、どんどんつまらなくなっていく気がして、もう二週間は過ぎていた。
 
 
 
直したネームを持って行ったのは、1ヶ月位経った後だった。
あまり覚えていないのだが、とにかくボコボコに言われて、もう一度直さなければならなくなった。
夏にお盆という事で、実家に帰ったのだが、そこでも親に生活を心配されながら、ネームを直していた。
もう、面白いのか、面白くないのか全然分からない。
 
9月くらいにまたネームを担当さんに持って行った。
予約はしていた筈なのに、本人不在でネームだけ置いて帰った。
 
その夜、電話があって
「つまらない。もう担当は辞める」
と言われてしまった。
 
私は隣の部屋のTさんに愚痴ると
「いい担当さんやったんちゃうん?俺の担当なんかずっと飼い殺しやで・・」
と言った。
なんだか、フォローされているのか、馬鹿にされているのか分からなかった。
が、今になってみると、面白くないと思いつつ、ずっとネームを直されるより、バッサリ切ってくれた方が有難いと思う。
Tさんは新作のネーム直しを10回くらい食らっていた。
3回くらいのネーム直しで露頭に迷っている様では、根性が足りん、という事だろう。
 
前に働いていたDVD制作会社で、映画監督を目指していた先輩が言っていたことを思い出した。
「世の中には2種類のクリエイターがいる。
直せば直すほど作品が良くなるやつと
直せば直すほど作品がつまらなくなるやつだ」
私はどうやら、後者だったらしい。