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米田知子写真展@原美術館

相変わらず原美術館が好きです。
平日の昼間は、御高齢の方々がカフェでまったりしてらっしゃいます。
原美術館でまったりする老後は、結構いいかもしれません。


いつも高い割に、作品数的に物足りない原美術館ですが、今回は満足できました。
米田知子さんは実に考えさせる写真家だと思いました。
作品の傾向は主に2種類ありました。


1、歴史的大事件があった場所の最近の風景写真
例えば、「道ーサイパン島在留邦人玉砕があった崖に続く道」等
美しい、いい写真だな、と思ってしまうのですが、実は昔そういう大事件があったんだ、と思うと見方が変わってきます。
美しいその風景の中に、褐色の軍服を着た青年が、尋常でなく切迫した思いで歩いている後ろ姿が、ぼんやりと映ってくる気がするのです。
しかし、瞬きをしてもう一度写真を見ると、ただの美しい風景に戻っています。
その人物の明滅を愉しむのが乙なのかもしれません
また、この手の写真は恐ろしく写真の隅々までピントがあっています。
普通、写真は、どこか一点にピントがあってしまい、他はボケる筈なのですが、、
恐らく、ボクらが世界を見る時、一応全ての場所に自分の眼球内レンズを使ってピントを合わせれるわけで、その事に忠実になるために、どの場所でもピントを合わせれる様に写真を撮ったのでしょう。
彼女の作品には、この様な鑑賞者に対する細やかな配慮を感じる事ができました。


2、歴史的な巨人の眼鏡のレンズ越しに、書物を見る
例えば「フロイトの眼鏡ーユングのテキストを見る」等
フロイトユングは哲学者ですが、見解の違いから対立していたそうです。
そのフロイトユングの文章を見たときの葛藤と言ったら、相当のものでしょう。
「何言ってんだよ、このバカが!○○××的に絶対オレが正しい。ここは矛盾している」
と思ってこの文章を見ていたに違いありません。
誰かの眼鏡越しに世界を眺めると言う事は、誰かになりきってみると言う事なんでしょう。
だから、当然その写真からは、当事者の気持ちが切実に伝わって来るんですね


ちなみにコレはボクの眼鏡越しに、ボクのネームを見たものです。
かなりボケてしまいますね。眼鏡越しに撮るのは相当テクニックがいる様です。
ボクの切なる思いは伝わるでしょうか、、